■診断・治療用ラジオアイソトープの製造と利用■


アイソトープ製造課   小林 勝利

 テクネチウム(99mTc;半減期6時間)と化学的性質が似ているレニウム(186Re;3.8日)、 188Re;17時間)は、低いγ線エネルギーによる画像診断とともに、99mTcにはない、 ベータ線による治療効果(癌性骨転移の疼痛緩和など)が注目されています。
 186Re製造は、主として、
   1)186W(p,n)186Re
   2)185Re(n,γ)186Re
 反応が使われます。
1)は高崎研究所TIARA加速器による無担体186Re製造、2)はJRR-3Mによる大量186Re製造に適用し、 186Re標識化合物の合成、それを用いたマウス体内挙動実験に利用されています。 特に、2)による186Re製品は、年4回以上、所内・外に供給されています。
 一方、188Reは、186W(n,γ)187W(n,γ) 188W(69.4日)反応により生成し、 アルミナカラムを用いた188W-188Reジェネレータから無担体で溶融されます。 99Mo(66時間)-99mTcジェネレータに比べ、長期間にわたり利用可能で、 数種類の188Re標識化合物の合成に成功しています。
 186Re、188Re標識モノクローナル抗体が、悪性腫瘍、心筋梗塞、炎症、 血栓などの画像診断および癌治療に、臨床で利用されることを期待しています。

Re-186製造装置

Re-186で標識したHEDPのラット体内分布