■蒸気発生器内での窒素16生成量の評価に関する研究■


船舶技術研究所 東海支所   三浦 俊正

 原研においては次世代型原子力船への適用を目指し、大型船舶用原子炉MRXと深海船用原子炉DRXの2つの改良船用炉の研究開発を進めている。 これらの原子炉ではプラント小型のため蒸気発生器が炉心に近接して設置される。 このため、炉心からの高速中性子が蒸気発生器内を通る二次系の水の酸素を放射化し、大量の窒素16(16N)を生成する。 16Nは崩壊の際に透過力の大きな高エネルギーガンマ線を放出するため、二次系周辺の遮蔽設計を行う上で重要な放射線源となる。 16Nの生成断面積は約11MeVに閾値があるため、線源評価においては、この閾エネルギー以上の中性子スペクトルを精度良く計算することが求められる。 そこで、JRR-4の炉心近傍にある気送管照射設備及び炉心タンク外プール水中において5種類の放射化検出器(金属箔)を照射することにより放射化反応率を測定し、 原研で開発されたベクトル化モンテカルロコードMVPの中性子輸送計算の精度評価を行った。 その結果、計算値は実験値と10〜20%で良く一致しており、10MeV以上の中性子輸送計算の精度が満足すべきものであることを確認した。 今後の課題は16N生成断面積の精度評価を行う事である。(共同研究)

JRR-4原子炉の水平断面図

16O(n,p)16N反応断面積の現状 MVPによる中性子スペクトル計算結果