■読者の声■


北里大学医学部整形外科   系満 盛憲様

 「研究炉ひろば」創刊号をお送りくださいましてありがとうございました。興味深く読ませていただきました。 私どもの施設では、開設以来同種骨を冷凍保存して移植に供してきました。 幸い現在まで移植骨による感染症などの病気移しの経験はございませんが、 単純な冷凍による保存骨では、肝炎やAIDSを含めたウイルス感染症は採取時のスクリーニングのみでは回避できません。 実際に米国では臓器移植ばかりでなく、骨移植などの組織移植によってもAIDSが発症した例が報告されるようになって、移植組織の減菌が要求されるようになってまいりました。 したがって私どもも2年前から高崎研究所の協力をえて、移植骨の放射線減菌に関する基礎的・臨床的研究を始め、いくつかの興味ある結果を得つつあります。 わが国においては原子力恐怖症ともいえるほどに、原子力に対する神経質な反発がございます。このようなことを考えますと、「研究炉ひろば」のような研究者向けの冊子だけでなく、 一般国民に向けたパンフレットのようなものも発行することができればますますよいのではないかと考えていますがいかがなものでしょうか。

 放射線減菌に関する研究を高崎研究所でなさっているとのこと。 研究炉でも医薬用RIの製造や脳腫瘍治療のための医薬照射といった医学の分野での利用がなされています。 研究炉が有効に利用され、将来にわたって社会貢献する手段となることは我々の願いであり、また我々の仕事だと考えています。 その意味で一般国民向けのパンフレットのようなものを発行することに、我々としても異論のないところです。 「研究炉ひろば」がそのようなパンフレットの発行の引き金になるように、また一般の人にも理解できるように努力してゆきたいと思います。(編集子)