■平成8年度の研究炉の利用状況について■


 平成8年度は、JRR-4が改造中で運転していないことから、その分利用が減少した。(図1、2参照)

図1.研究炉における照射利用の推移

図2.研究炉における実験利用の推移

 照射目的別(図3参照)では、例年どおり放射化分析が大半を占め、原子炉用燃料・材料、RIの製造、シリコン照射が残りを分けている。 放射化分析の内訳では、金属材料・無機化合物が多く、ついでろ紙、フィルター、生物、土壌、温泉・河川水残渣等である。 ろ紙、フィルターの割合はここ数年増加しているが、反面岩石は減少し平成8年度はグラフに現れてない。 ろ紙、フィルターが増えたのは、環境(空気)中の汚染状況調査の増加、すなわち環境保護の重要性のあらわれである。

図3.研究炉における照射利用状況(平成8年度)

 実験目的別(図4参照)では、JRR-4の運転休止により遮蔽実験がなくなり、その分中性子散乱実験の割合が増えた。

図4.研究炉における実験利用状況(平成8年度)

 図5は、JRR-3Mの利用状況(利用能力と利用実績)を表した図である。 中性子ビーム実験では平成8年度もマシンタイム(利用能力)の100%利用されている状況であり、サイクル照射、長時間照射、短時間照射については72%、47%、39%の利用であった。 シリコン照射については、平成8年度の第3サイクルから均一照射装置の利用を開始し、順調に利用された。

図5.JRR-3Mにおける利用状況(平成8年度)

 最後に、JRR-3Mの中性子散乱実験について図6に示す。 磁性の研究が最も多く、ついで構造研究、生物、実験装置・技術の開発、基礎物理、高分子とつづく。超伝導の研究は、グラフでは少なく見えるが実際はもっと多い。 これは、超伝導が磁性や構造と関係が深く、物性の研究という位置づけから磁性や構造でカウントしているためである。生物関係の研究は、グラフに現れているとおりかなり増加している。

図6.JRR-3Mにおける中性子散乱利用状況(平成8年度)