■平成9年度の研究炉の利用状況について■


 平成8年12月19日をもってJRR-2が運転を終結したため、平成9年度はJRR-3Mのみの利用運転となった。 照射利用、実験利用ともJRR-2の分をJRR-3Mが引き継ぎ、平成9年度も平成8年度と同等の利用が行われた。(図1、2参照)

図1.研究炉における照射利用の推移

図2.研究炉における実験利用の推移

 照射目的別(図3参照)では、放射化分析の占める割合が81%となり、他の利用の占める割合が減少した。 特に平成9年度はトレーサ用RIの製造、原子炉用燃料・材料の照射利用のキャプセル数が減少している。 ただし、原子炉用燃料・材料の照射は、照射時間の長いキャプセルが多いためにキャプセル数が減少したものであり、延べ照射時間は平成8年度と変わっていない。 放射化分析の試料では、金属材料・無機化合物、ろ紙・フィルターが減少し、生物、土壌、岩石、血液が増加した。

図3.研究炉(JRR-3M)における照射利用状況(平成9年度)

 実験目的別(図4参照)では、中性子散乱実験が全体の88%を占め、中性子ラジオグラフィ、中性子即発γ線分析、 その他がそれぞれ5%、5%、3%と、平成8年度と同じ割合であった。

図4.研究炉(JRR-3M)における実験利用状況(平成9年度)

 利用能力と利用実績を表したJRR-3Mの利用状況(図5参照)では、全体の利用能力が運転時間の増加等のため平成8年度より増加し、 設備別の割合とその利用状況の傾向は平成8年度とほぼ同じであった。中性子散乱実験は平成9年度も利用の要望が多く、マシンタイム(利用能力)の100%利用された。

図5.JRR-3Mにおける利用状況(平成9年度)

 最後に、JRR-3Mの中性子散乱の目的別利用状況(図6参照)では、例年通り磁性研究が最も多く、ついで構造、生物、高分子の研究となり、 高分子の研究が平成8年度に比べて増加した。

図6.JRR-3Mにおける中性子散乱利用状況(平成9年度)