時のたつのははやいもので、「研究炉ひろば」の初版を発行してからまもなく5年がたとうとしています。ここまでこれたのも皆様のご協力のおかげと思っております。しかし、残念なことに今号のひろばのコーナーへの投稿がありません。研究炉をより有効に、使いやすく、そして発展させるため、皆様の声お待ちしております。今号では、先にインドネシアで開催されました「1998年度研究炉利用ワークショップ」についてご紹介させて頂きます。


 研究炉利用ワークショップは、原子力委員会のアジア地域原子力協力政策の一環として、以下に示すテーマについて、1992年からインドネシアの研究炉RSG−GASを活用して毎年開催されています。これまでに、インドネシア、中国、韓国、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、オーストラリア及び日本から約600名が参加しています。
 (1)中性子散乱:先端的研究育成のための中性子散乱実験技術の向上
 (2)ラジオアイソトープの製造:医療用ラジオアイソトープの製造技術の向上
 (3)中性子放射化分析:環境モニタリング法としての中性子放射化分析技術の向上
 (4)研究炉の運転・保守:各国研究炉の現状認識及び各国の安全確保に関する経験の共有化
 1998年度のワークショップは、1999年2月8日〜11日にインドネシアのジョグジャカルタ市で開催され、上記各国から約80名が参加し、中性子散乱、中性子放射化分析及び研究炉の運転・保守について活発な討論が行われました。今回のワークショップにおいては、今後のあり方も含めてこれまでの成果についてもとりまとめました。ワークショップの途中からは、インドネシア原子力庁(BATAN)のスブキ長官も参加されました。また、ワークショップ中BATAN・ジョグジャカルタ研究所の研究炉KRR(TRIGA Mark?U)の視察も行われました。ジョグジャカルタ研究所は、同炉の更なる有効利用のため、現行の出力100kWを250kWに上昇させるとともに、BNCT照射装置等の設置について検討しています。
 更に、2月12日〜14日には、場所をBATAN・セルポン研究所に移し、中性子散乱に関するワークショップの一環として(サブワークショップ)、同研究所の研究炉RSG−GASを用いて中性子小角散乱に関する共同実験を実施しました。
 これらの成果は、1999年3月10日〜12日に原子力委員会が東京で開催する第9回アジア地域原子力国際会議において報告されるとともに、来年度の同ワークショップの活動内容の決定に資されます。

開会式
サブワークショップ中性子小角散乱共同実験
ワークショップ 研究炉の運転・保守

ご連絡先 : 日本原子力研究開発機構 原子力科学研究所 研究炉加速器管理部 研究炉利用課
TEL:029-282-5591
FAX:029-282-6763
E-mail:kenkyuro-riyou@jaea.go.jp