ひろばのご愛読有り難うございます。今号のこのコーナーでは、大統領直属の機関としてインドネシアの原子力行政及び研究開発を行っているインドネシア原子力庁(BATAN)で、 国際技術協力員として活躍されている源河様から届いた投稿を紹介します。


BATANの職員とよりよいコミュニケーションを保つために

BATANとは何の略か

 インドネシアに関わっている者にとって、BATANはBadan(庁)Tenaga(エネルギー)Atom(原子)Nasional(国家)の略というのが常識であったが今は違う。 昨年からはBadan Tenaga Nuklir Nasionalの略である。ならばBATNNでなければおかしいと理屈をいってもはじまらない。 略称は変えないとBATANできめているのだから。それにBATNNでは発音しにくい。


BATANから出てくる名簿はいつも不完全か

 インドネシアでは名前のつけ方に全国共通の一般原則はなく、姓と名が必ずあるわけでもない。従って名簿に単一の名前しかなくても「姓」か「名」が欠落しているのではない。 前大統領がよい例で、彼にSoeharto以外の名前はない。また夫婦・親子であっても必ずしも名前上の関連はない。


全員学位取得者か

 会議参加者名簿等を見て「先方は全員博士なのか」と思ってはいけない。Drs、Draはそれぞれ男性と女性の理学系大卒という意味でオランダ語からきている。 Ir、SH、SEはそれぞれ工学士、法学士、経済学士で男女の区別はない。勿論MSc、Drは修士、博士である。 名前の後にAPU(アプ)とあればこれはAhli(専門家)Peneliti(研究者)Utama(傑出した)という資格でインドネシアの国立研究所の研究者として最高のランクである。 現在この資格を持つ者は、BATAN全体で15名、全国では40名程度といわれている。その他の記号めいたものは単に長い名前の短縮である。


月給、勤務時間、有給休暇、定年は

 給与に男女格差はない。 最高位の研究者APUで140万ルピア(1円50ルピアとして2万8千円)、その内45万ルピアが本給で、残り95万ルピアは実験室で放射線を扱っているなどのための加算額である。 センター長になると25万ルピア(5千円)加算される。これでは充分でないため、副業を持つことが公認されている。 薬学出身の者は殆ど薬局を経営しているし、洋裁の腕があるテクニシャンは職場で寸法をとって来て仕立て業に励んでいる。殆どの場合副業収入の方が遥かに多い。 勤務時間は7時半から1時間の昼食時間をはさんで4時まで。金曜は勤務時間中にモスクに出かけるので4時半まで、マラダン(断食月)期間中は昼食抜きの勤務となるが3時に退勤する。 ムスリムでない者は弁当持参か自宅で食べる。有給休暇は年間12日だが病欠はこれとは別。産休は前後合わせて3ヶ月。生理休暇はある。 定年は管理職コースの課長以下は55才、センター長以上になると60才、長官といえども60才に変わりはなくそれ以上は1年毎に延長する。 研究者コースも普通55才、上級研究員となれば65才まで。定年退職後は「本給」の80%が終身支給される。ちなみにこの国の平均寿命は男61.5才、女65.3才である。


人事考課は

 点数制で70項目にも及ぶ詳細な規定がある。 例えば学位取得150点、修士100点、論文刊行(語数にもよるが)単独名25点、共著のトップ15点、ジャーナルの編集6点、学会参加(発表なし)1点などである。 国内外で6ヶ月以上研修を受けた場合9点、3ヶ月なら6点になるが終了証書を持ち帰らなければ点にならない。前述のAPUの資格のためには少なくとも1000点必要である。


官舎を貰えるというのは本当か

 本当ではない。しかし勤続10年以上の既婚者で子供がある場合、築後15年以上の官舎なら給与引き落としの長期ローンで買いとることができる。 土地付で値段は市価の5分の1程度。ジャカルタ市内パサーミング及びバンドン市内の官舎のみがBATANの専有なので適用対象となっている。


家族構成は

 子供は2人まで。3人以上つくってもよいが手当て等は一切つかない。また妻が2人以上いる職員はBATANにはいない。 なぜなら特別政令によって公務員に一夫多妻制は認められていないからである。民間に移ればイスラム教徒は4人までの妻帯が許されるがこの場合既存の妻の同意書が必要である。 但しこの頃はそういうものにサインする妻は少ないそうである。

駐インドネシア 国際技術協力員   源河 次雄様より


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