■創刊にあたって■


研究炉部長   白井 英次

 原研は、原子炉等の大型研究施設の開発を行うとともに、昭和33年からこれらの施設を広く学会、産業界等の共同利用に供し、研究の進展に貢献してまいりました。 そして現在、東海研究所の研究炉JRR-2、3M、4は中性子ビーム実験、燃材料の照射実験、放射化分析、 RIやシリコン半導体等の製造あるいは教育訓練や医療照射等の様々な利用分野に広く活用されております。 そして、これら研究炉の運転と利用に携わってきた研究炉部も、発足以来、今年で35周年を迎えることになりました。 現役最古参であるJRR-2の初臨界が昭和35年ですから、同じ歴史を歩んできたことになります。
 しかし、その後の原子力の研究開発の進展に伴いまして研究炉に期待する利用者からのニーズに変化が現れ、現行の共同利用方法に少なからず翳りが見えてまいりました。 そこで、利用の動向や分析調査等の結果を基に、 将来の利用の高度化にも柔軟に対応できるようにこれまでの共同利用制度を包含する新たな研究炉の利用システムの構築について検討を進め、 実現可能なものから順次取り組みを開始することにしました。
 この計画の一部に、要望の高い研究炉の利用に関して情報化も加えることにしました。 昨年は利用の手引きとも云うべき利用ハンドブックの編集を実施しました。 今年は利用設備に関する利用データベースを作成し、インターネットを通じて気軽に活用していただくことを試みております。 さらに利用に関する情報の交換を目的に、ここに情報季刊誌を発刊することにいたしました。 これを通じて、利用者との交流がより深まることができれば幸いとするところであります。 今後、本誌をさらにより良いものにするため研究炉利用に関します忌憚のないご意見をお願いいたします。