●アイソトープ部製造課   今橋 強

 アイソトープ部では、ラジオアイソトープ（RI）の製造に関する研究開発として研究炉及び材料試験炉を利用した新しいRI製品の製造技術の開発を進めている。 これまでに数多くのRI製品を開発し、43核種、46製品をカタログに記載して有料頒布している。 このうち研究炉（JRR-2、JRR-3M、JRR-4）を利用して定常生産している代表的なＲＩ製品にがん治療用の¹⁹²Ir（半減期：73.8日）及び ¹⁹⁸Au（半減期：2.69日）がある。 ¹⁹²Ir線源は、形状及び放射能の異なる7種類の線源を2月毎に、¹⁹⁸Au線源では、短半減期のため、 毎週一回、年間50週にわたり定期的な製造・供給を実施している。 これらの密封小線源は、がんの部位、大きさなどにより各線源の特徴を生かした組織内局所治療用として、舌、口腔底、前立腺、脳腫瘍、乳がん、食道、直腸、膀胱、 子宮頸がんなどに優れた治療効果があり、外科療法や化学治療とともに広くその利用が定着している。
 これらは利用者との密接な協力の下に開発された成果であり、研究炉の安定した稼働によるものである。 今後とも新しいＲＩ製品の製造開発、製品の品質向上のための技術開発及び製品の検定技術の開発を進め、多くの分野への一層の普及と拡大を図るものである。
 研究炉を利用した平成5年度のRI頒布実績及び¹⁹²Ir密封小線源（ヘアピン及びシングルピン）によるがん治療状況の一例を示す。