■平成6年度の研究炉の利用状況について■


 平成6年度の研究炉の利用は、各炉(JRR-2、JRR-3M、JRR-4)の運転に伴い順調に行われました。 各炉それぞれについて利用状況を紹介すべきところですが、ここではJRR-3Mについて紹介します。
  その理由はJRR-2が平成8年12月をもって運転を停止すること、またJRR-4が平成8年の1月から改造工事に着手することから、 今後数年間はJRR-3Mが研究炉利用の中心になるものと思われるからです。
 図1は、JRR-3Mの平成6年度の利用可能時間と実際の利用実績時間を表したものです。 この図から分かるように、既に中性子ビーム実験は100%の利用となっており、要望がマシンタイムをオーバーしている状況です。 サイクル照射も80%近く利用されています。短時間照射及び長時間照射については、まだ余裕があります。

図1.JRR-3Mの利用能力と利用実績(平成6年度)

次に研究炉の照射利用の推移について示します。

図2は照射利用についての利用実績(キャプセル数)を平成2年度から平成6年度まで表したものです。 平成2年度から平成5年度までは各炉トータルしたキャプセル数の変動はそれほどではありませんが、平成6年度は極端に増えています。 これは、JRR-3Mでの短時間の放射化分析が大幅に増えたためです。 また、平成5年度におけるJRR-4のキャプセル数が少なくなっていますが、これは燃料節約のために低出力運転日を多くしたからです。

図2.研究炉における照射利用の推移

 平成6年度の照射利用を目的別に表したものが図3です。放射化分析、原子炉用燃料・材料の照射、生産用RIの製造、シリコン照射等に利用されました。 特に放射化分析は、照射利用の77%を占め、その試料は、金属材料・無機化合物、動植物、土壌、岩石、ろ紙、ヨウ素等さまざまです。

図3.研究炉における照射利用状況(平成6年度)

最後に実験利用についてみてみましょう。

 図4は、実験利用実績(利用延日数)を平成2年度から平成6年度まで表した図です。 平成2年度から運転を開始したJRR-3Mの利用が年毎に増えています。これに対して、平成6年度から50時間単位の運転に変更し、 その役割をJRR-3Mに引継ぎつつあるJRR-2は、利用が減少しています。
 先に述べたように、JRR-3Mは平成6年度は現在設置されている実験装置が100%利用されている状況です。

図4.研究炉における実験利用の推移

 図5は平成6年度の利用実績を実験目的別に集計した結果です。 中性子散乱実験が80%と大半を占めています。中性子散乱実験のほとんどはJRR-3Mの実験なのですが、そのJRR-3Mでの中性子散乱実験を分類し、 利用者延べ人数、実験テーマ数をカウントしたものが図6です。 磁性に関する利用が最も多く、構造解析や高分子さらには生物関係の利用もなされています。

図5.研究炉における実験利用状況(平成6年度)

図6.JRR-3Mにおける中性子散乱の利用状況(平成6年度)