平成10年度における研究炉の運転は、JRR-3Mにおける4サイクルの共同利用運転と、改造工事を終えたJRR-4の9サイクルの試験利用運転と12サイクルの共同利用運転である。
JRR-3Mの運転は年度当初の計画では7サイクルの予定であったが、CNS(冷中性子源装置)のトラブルにより年度前半の4サイクルの運転となった。
このため、年間の運転日数が例年より少なくなり、照射利用、実験利用とも減少した(図1、2参照)。
図3は、平成10年度の目的別照射利用状況である。放射化分析の占める割合が72%と前年よりわずかに減少しているが、その放射化分析の目的別割合は前年と同じ傾向である。
実験目的別(図4参照)では、中性子散乱実験が全体の84%を占め、中性子ラジオグラフィー、中性子即発γ線分析、JRR-4利用施設の特性測定、
その他がそれぞれ4%、4%、3%、5%と残りの部分を分け合った。
図5と図6は、JRR-3MとJRR-4の利用状況を表した図である。内円が設備利用能力を表し、外円の塗りつぶした部分がそれぞれの設備の利用実績を表す。
JRR-3M、JRR-4共に全体の利用能力は、年間の運転時間が少ないことから例年より減少した。利用能力の設備別割合とその利用状況(実績)の傾向は、
JRR-3Mでは平成9年とほぼ同じである。
JRR-4においては、改造によりリドタンク、散乱実験室がなくなり中性子ビーム設備と中性子即発γ線分析装置が新たに加わったことから、利用設備が変わっている。
JRR-4の利用状況(実績)は、ほとんどの設備で特性測定が行われており、本格的利用に至っていないため利用率が低い。
JRR-3Mの中性子散乱実験は、平成10年度も利用の要望が多く、4サイクル分のマシンタイム(利用能力)の100%が利用された。
最後に、JRR-3Mの中性子散乱の目的別利用状況(図7参照)では、平成10年度も磁性の研究が最も多く、
磁性以外は構造、超伝導、液体・不測性物質、生物、高分子、装置開発、基礎物理、研究と概ね同程度であった。