平成14年度の研究炉における利用は、JRR-3の7サイクル、JRR-4の39週の共同利用運転に伴って照射、実験ともに順調に行われました。 図1、2は炉別照射利用件数を機関別に区分したものです。従来のように大学の利用が多くなっていまが、近年は民間会社の利用も増えてきています。
 図3は照射の利用状況を図にしたものです。放射化分析が圧倒的に多く約9割を占めています。 他には半導体材料であるシリコン照射、医療や工業に利用されるRIの製造、原子炉用燃料材料照射、照射損傷の順になっています。 放射化分析の試料別割合をみると、動物・植物・魚介類がもっとも多く、次いで大気粉塵・フィルター、土壌、岩石、金属無機化合物で、 環境汚染の調査を目的とした環境試料の分析が活発に行われています。JRR-3、JRR-4の照射利用ではシリコン照射目的の均一照射設備を除いて、申込みに対し十分受入が可能です。
 図4、5は炉別の実験利用件数を機関別に区分したものです。平成14年度は実験利用申込みが過去最高を記録しました。図6は実験利用状況を図に表したものです。 中性子散乱実験が80%以上を占め、続いて中性子即発γ線分析、中性子ラジオグラフィ、低温化学実験の順です。これらの実験のほとんどは、 JRR-3の中性子ビーム実験装置を利用したものです。中性子散乱を目的にみると、磁性体、ウラン化合物の結晶構造や磁気構造の解明を目的とする磁性や構造の研究の占める割合が大きくなっています。
 JRR-3の実験設備は、利用能力の100%が利用されています。毎年度利用能力をはるかに超える申請があり、マシンタイムの調整には苦労しています。

図1.JRR-3照射利用件数内訳 図2.JRR-4照射利用件数内訳
図3.JRR-3,JRR-4における照射利用状況
図4.JRR-3実験利用件数内訳 図5.JRR-4実験利用件数内訳
図6.JRR-3,JRR-4における実験利用状況