秋の訪れを感じる季節になりましたが、皆さんいかがお過ごしですか。 さて、またまた忘れた頃に「えとせとら」のよもやま話させて頂きます。今回は中性子ラジオグラフィに挑戦したいと思います。 「ラジオグラフィ」を辞書で引いてみますと「放射線写真術」とあります。なあんだ放射線すなわち中性子を使った写真のことか、 簡単簡単。しかしどうやって色や濃淡が出るんだ。いや、中性子ラジオグラフィの写真は確かカラーじゃなくて白黒だったなあ。 そうか、対象物質を透過した後の中性子の強度によってフィルムに濃淡ができるのか。てことは、対象物質で中性子がさえぎられるとその程度に応じて透過像に影ができる。 しかし中性子がさえぎられるのはどういうときだ。中性子が吸収や散乱されるとき、そうだそうだ。X線は物質の重さ(比重)によって影のつき方が決まるけど、 中性子は、比重に関係なく吸収や散乱される独特の確率(断面積)に依存するから、独特の透過像が得られる。そうかそうか、 だからX線とは違った透過像が得られる非破壊検査技術の一手法なんだ。
 これって結構おもしろそうだね、いろいろな物質の中性子透過像を撮って、いろんな非破壊検査ができるんじゃない。 そうそう、たしかリチウム電池の内部の可視化、植物の土壌中の根の生育状況と水分の挙動、埋蔵文化財の非破壊検査(金属容器内の紙や布等の有機物の確認等) といった利用が実際行われていたな。しかし、中性子を発生する装置は原子炉や加速器といった装置に限られてしまうんじゃないか、 さらに中性子は特殊な放射線だからちょっと扱いが厄介とか。うーん、貴重な中性子源有効に使わねば。


< 行事メモ >

平成16年7月6日 中性子利用分析専門委員会(東京)
平成16年9月15日〜17日 日本原子力学会 秋の大会(京都)