研究炉部長 海江田 圭右
原研に入所して以来32年余になりますが、そのうち20年ほどは研究炉部に在籍しておりました。
昨年(平成9年)10月7年ぶりに研究炉部に異動になりましたが、やっと古巣に戻った気持ちです。
7年という期間は、私にとっては最長であり、その分、外から研究炉の動きを見ることができたと同時に、日本、外国の状況を知ることができました。
一方、研究炉部の成長振りあるいは変わり様に驚かされています。その一端を示しますと次の通りです。
JRR-3Mの性能の高さは世界的に知られており、事実、この高性能のために、利用者の研究成果が質、量とも向上し、利用者が殺到しています。
JRR-4は燃料濃縮度の低減化と利用設備の拡充・高度化の工事が進行中で、今年の10月には試験利用運転開始ができるように計画が進捗しております。
JRR-2は、平成8年12月に永久停止を行い、昨年5月には解体届けを国に提出し10年間に及ぶ解体作業の緒についたばかりです。
外回りを観ますと、原子力を取り巻く状況は、大変厳しいものがあります。とりわけ、一般市民への信頼の失墜は、原子力研究開発に携わる私共にとっては、大きな痛手であります。
我々の与えられた仕事は、研究のためにその役割の一端を担っているのはもちろんですが、大きい目で見ると、原子力の平和利用であって、
国民、ひいては人類のために貢献しているわけです。このような意味合いで、一般市民への信頼低下は、つらいものがあります。この信頼回復には、
長い時間と地道な努力を必要とします。各人がそれぞれの持ち場で、真摯な態度で、着々と成果を上げて行かざるを得ません。
日々の努力の積み重ねを継続していくことによりその信頼回復が実現できるものと思います。この「研究炉ひろば」がそのための道具として役立つことを切に希望します。
引き続きご支援いただけるようお願い申しあげます。