平成15年度における研究炉の運転は、JRR-3の8サイクル(26日間/サイクル)とJRR-4の42週が実施されました。
 JRR-3はヘリウム圧縮機の異常により第5サイクルの約3/4と第6サイクルの半分が運転中止となりましたが、 年度末に第8サイクルとして2週間の運転を追加したことで、利用の実績は例年に比べても若干の減少にとどまりました。
 図1、2は炉別に照射利用件数を利用機関別に区分けしたものです。例年どおり大学の利用が多くなっています。
 図3は照射利用目的を照射キャプセル数で示したものです。放射化分析が約9割を占めており、試料別の割合では大気粉塵・フィルター、次いで、 動物・植物・魚介類、岩石、土壌などで、環境試料の分析が多く行われています。放射化分析に次いでは、半導体材料であるシリコンの照射、 医療や工業の分野で利用されるRIの製造、原子炉用燃料・材料の照射、照射損傷などとなっています。JRR-3及び4の照射利用については、 シリコン照射を行う均一照射設備を除き、利用能力にはまだ余裕があります。
 図4、5は炉別に実験利用件数を利用機関別に区分けしたものです。JRR-3では大学の占める割合が多いのですが、 15年度から原研所有の中性子散乱実験装置の一部が共同利用化されていますので、今後は民間利用も増えてくると思われます。
 図6は実験利用の実績です。中性子散乱実験が8割以上を占め、続いて中性子即発γ線分析、中性子ラジオグラフィとなっています。 これらの実験のほとんどは、JRR-3の中性子ビーム実験装置を利用したものです。中性子散乱を目的別にみると、 磁性体やウラン化合物の結晶・磁気構造の解明を図る磁性や構造の占める割合が多くなっています。JRR-3の実験設備は、利用能力のほぼ100%が利用されています。